神奈川県警栄署は、藤沢市大鋸、自動車修理会社社長、伊藤明浩被告(49)(覚せい剤取締法違反で起訴)を詐欺容疑で17日に再逮捕する方針を固めた。
ディーゼル車の排ガス浄化装置をいったん取り付けて車検を通した後、取り外してトラックを返す手口。車検申請書類には浄化装置のシリアルナンバー(個体識別番号)を記載する必要がないため、使い回しが可能で、伊藤被告は、装置2台を使い回していたという。
捜査関係者によると、伊藤被告は2007年4月、横浜市南区の運送会社からディーゼル車のトラック3台の車検の更新を請け負った際、排ガス浄化装置を新たに取り付けると偽り、現金約300万円をだまし取った疑い。
装置の一般的な価格は1台150〜170万円だが、伊藤被告は、格安販売のチラシをファクスで送って車検を請け負っていた。県警は、同社を含む運送会社少なくとも4社が総額1000万円近い被害を受けたとみて調べている。
ディーゼル車の排ガス抑制を目的とした自動車NOx・PM法は02年に施行され、東京や大阪、神奈川など8都府県で規制地域を指定し、排出基準を超えるトラックやバスなどの使用を禁じている。
同法施行前から使われているディーゼル車は新車登録から8〜12年間設置が猶予される。被害に遭った運送会社は設置期限が迫り、設置を依頼したという。
伊藤被告は3月に警視庁、4月に県警に覚せい剤取締法違反で逮捕され、5月に横浜地裁に起訴された。
国土交通省環境課の担当者は「このような詐欺は聞いたことがない。使い回しは想定外で、相次ぐようであれば、対策を検討する」と話している。
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